こんにちは。コンカズ (@konkazuk) です 。
“Ali Farka Toure” (アリ・ファルカ・トゥーレ)というアーティストをみなさんご存知ですか?
アフリカの西側に位置する国、”Mali” 出身の弾き語りのミュージシャンなのですが、僕が初めて彼の音楽と出会ったのは、遠い昔の大学生の頃。
当時、兵庫県の尼崎に住んでいた僕のまわりには、ブルースにのめり込んでいる奴らがたくさんいて、彼らとつるんでいる間に僕も自然とブルースのレコードを集めたり、ブルースのジャムセッションに参加したりするようになって行ったワケなんですが、
そのつるんでいたウチの一人に、“ライトニン・ホプキンス” と、“ジョン・リー・フッカー”のスタイルを、いとも簡単にパクってしまう凄腕のギターリストがいて、
(アパートを立ち退いて、いろんな所を転々としていた無職の彼は、残りの持ち金が500円となったところで、自分がその金を頭金にしてアパートの一室を借りるべきか(そんなところあるか!)それともローソンで冷酒を手に入れるべきかと、
夜中に電話で相談を持ちかけてくる強者でもあった。記憶にあまり残っていないが、間違いなく2番目の選択をしたはずである。w )
その彼に当時薦められたのが、今回ここで紹介させていただく、
「アリ・ファルカ・トゥーレ」
である。
しばらくの間、聞いていなかったのですが、最近再発売されたレコードを購入して聞いてみたところ、何ともイイ感じではあ〜りませんか!💕
というわけで今回の記事では、彼のアルバムを3枚ほど紹介させていただきます。
Ali Farka Toure (1987)
“World Circuit” というレコード会社から1987年にリリースされたこのアルバムが、先に述べた 冷酒 “ごろつき” ギターリスト (敬意を込めて) の彼に紹介してもらった、僕にとって初めての
「アリ・ファルカ・トゥーレ」
の音源だったわけですが…
いやぁ〜… あれから何年か経った今聞いてみても、心温まるアルバムです。
大学時代に聞いていた頃の印象としては、もっとブルース色が強いアルバムだったと思ったのですが、実際のところは彼の使うギターフレーズの節々に、カントリーブルースの影響が見え隠れするだけで、今聞いてみると、どちらかといえば「民謡」に近い感じですね。
アメリカの黒人ブルースには、独特の…
「酒の臭い」
「売春婦の影」
「ワルさ」
「悲しさ」
「やるせなさ」
みたいなものが漂っていて、
夜の街や、薄暗いバーを照らす照明が似合う感じなのですが、(それはそれでカッコイイのですが)アリ・ファルカ・トゥーレの音楽を照らしているのは、間違いなくアフリカの太陽です。
しかも、このアルバムは夕方の心地よい日差しという感じで、
「カラスが鳴くから、お家へ帰ろう」
的な、何ともリラックスさせてくれる雰囲気を漂わせています。
ボンゴプレイヤーとのデュオ、という編成もいいですね。
(レコーディングでは、ボンゴと*カラバシを彼自身が演奏しています。)
*大きなひょうたんが使われているパーカッション
個人的にメチャメチャおすすめのアルバムです!!!
Ali Farka Toure (Red album)
続いてはこの「RED アルバム」!!!
元々は “Disques Esperanto” という、フランスはパリのレコードレーベルから1984年にリリースされた音源なのですが、2021年の3月にメデタイことに、ヨーロッパで、先ほど紹介した “WorldCircuit” レーベルからレコード盤として再発売されました。(イェイ!)
ちなみに、日本盤のように帯が付いていて、親切に歌詞カードも入っている!
「アリ・ファルカ・トゥーレ」の初期の音源は、どれもタイトルがなく、表紙に彼の名前だけが綴られているのみなので、人に説明するとなると少々ややこしいのですが、
初販のこのアルバムのジャケットの写真のまわりの色が、「赤」だったので “RED album” という名前で判別されているようです。
さて、アルバムの印象ですが、先ほどあげた1987年のアルバムよりもブルース色が強い感じですかね。
彼のギタープレイの中で、所々に「ジョン・リー・フッカー」の「音」というか「boogie感」がが見え隠れしてカッケェーなぁ、と思っていたら…
なるほどウイキペディアや他のレヴューの記事で、彼が「アフリカのジョン・リー・フッカー」と呼ばれている事実が書かれているのを見つけました。w
この事に関して、彼が憤慨している記事(ガーディアン紙)もありましたが…
まぁ、アートに関して言えば、影響を受けて吸収したものが、自然と自分の作品の中に浮き出てくるってのはよくある事ですが、その一部分だけつかまえて安易に比較されるってのは、あまり気分が良いものではないってのは、よくわかります。
とまぁ、そんなことは置いておいて、シンプルに「カッコいい」アルバムです。
単純に、ブルース感(エレキギターのブルースのそれとは違います。そんでもって曲の構成は、全く”12小節の形式”ではありません。念のために…) を持っている音楽が、英語以外の言語で歌われているところに 「ドッキン」とする人も、中にはいるのではないでしょうか?
彼の(二重に響く?)歌声と、パーカッションのサウンドがシンクロして、これがさらにエキゾチックな雰囲気を強調しています。
昼間の太陽の「熱」と「さわやかさ」が同居した、何ともクリスピーなアルバムです。
ALI TOURE FARKA (1977)
ミドルネームと苗字が、入れ替わっているこのアルバム (EP?) は、1977年にフランスの “Sonafric” という、アフリカの音楽を専門的に取り扱うレコード会社からリリースされた、初期作品のうちの一つ。
個人的には、彼の卓越したギタープレイが聴ける、とても美しい作品だと思うんですが、パーカッションが入っていないのと、曲のはじめから終わりまで、延々とバックで フィドルが演奏されているチューンがあったりと、
少々「ポップ感」に欠ける部分があるため、人によって好き嫌いがはっきり出るアルバムでもあるかと思います。
ウディー・ガスリー” などの、昔の音源を、永遠と聴ける人は、たぶん大丈夫なはずです。
とまぁ、ここまで個人的にベストだと思う彼の3枚のアルバムを紹介してきましたが、商業的に成功をおさめたポピュラーなアルバムとなると、他に
1990年の “The River”,
「ライ・クーダー」と共演している1994年の作品 “Talking Timbuktu”
そして “Kora” という楽器を奏でる、同じ「マリ」出身の “Toumani Diabate” との共演が聞ける、2010年の作品 “Ali and Toumani”
などが上げられると思います。
が…どうも “The River” 以降の作品は、エレキギターのサウンドが “too much” だったり、“ライ・クーダー”との共演作は、典型的なエレキギターによるブルース演奏のバックで聞かれる、ロックスタイルのベースやドラムのプレイに、Ali のカッコよさが台無し。
“Tounami”との共演作は、バリテクなインストアルバムで、悲しいかな、BGMになってしまう (全て個人的な意見です。念のため…) などと、何か初期の頃にあった「わび・さび」というか「マジック」みたいなものが失われて、あぁ、
“スターになってしまったのね…”
という感じで、個人的には “NG” です。
というわけで、最初の方に述べた
「どれもタイトルがなく、表紙に彼の名前だけが綴られているのみ」
の初期の頃のアルバムが、個人的には「オススメ」となります。
ちなみに, 2番目に紹介した民族感あふれる「RED Album」の再発売LPレコードが下のリンクから手に入れられます。レコード好きな方は、売り切れてしまわないうちにどうぞ。
それではまた。
コンカズ
*この記事の英語バージョンはこちらから
👉 Africa’s incredible guitar player Ali Farka Toure’s top 3 albums.