どうも。コンカズ(@konkazuk)と申します。
夏だ!ロックだ!アフリカだ!
(この記事を夏以外の季節に読んでいたらゴメンさい。🙏)
というわけで、みなさんは “Zamrock” (ザム・ロック)という言葉をご存知でしょうか?
アフリカのイメージとロックミュージックが結びつかないという方もいらっしゃると思いますが、実は1970年代は半ば、アフリカの南部に位置する国 “Zambia” (ザンビア)では、ロックが熱く盛り上がっていました。
Witch (僕の職場の同僚のザンビア出身のおっちゃんは、メンバーと知りあいだったらしい) を筆頭に、Ngozi Family, Amanaz など、イカしたロックバンドを世に送り出しています。
とりあえずは “Zamrock” に関する映像があるので、興味が湧いた方は下のリンクからどうぞ。👇
どうでしたか?
彼らの音楽がストライクゾーンに入っているという方は結構いらっしゃるのでは?
てなわけで、今回は僕が一時期ハマりにハマった一押しのこのバンド “Ngozi Family” のおすすめのアルバムを、ここで3枚ほど紹介していきます。
Day Of Judgement
まずはこの “Day Of Judgement” ですが…
ここでこのアルバムの音楽的な部分について書く前に、このアルバムが出た頃の時代背景について少し触れておこうと思います。
このアルバムがリリースされたのは1975年ということですが、ロンドンやニューヨークでは「パンクロック」がまさに花咲こうとしている年。
一方で、この時期アフリカでは何が起こっていたのかというと、当時のザンビアの隣接国、西のアンゴラ、そして東のモザンビークでは、紛争の末に長年のポルトガルによる植民地支配の状態から独立を達成。南アフリカ共和国では、黒人たちが白人社会から課せられたアパルトヘイト制度に苦しめられているという状態。
ザンビアは、1964年にイギリスの植民地支配から独立を達成していますが、南に位置するサウスローデシア(のちのジンバブエ)と、もめている状態。
そんな中で、ザンビアの数少ないロックミュージシャン達は、もともとイギリスの植民地だったということで、ジミヘン、テン・イヤーズ・アフター、クリームなどの “UKロック” に影響を受けていたようです。
リーダーの “Paul Ngozi” (同僚によると「ンゴズィ」と発音される)は、自身のバンドを “Ngozi Family” と改名する前は、大好だったバンド “テン・イヤーズ・アフター” にリスペクトをはらう意味で “テン・イヤーズ・ビフォー” と名乗って活動していたという話が…
さて本題に戻りまして、ここで取り上げているアルバム “Day Of Judgement” に関してですが、レコーディングのメンバーは、
Paul Ngozi: on vocals and lead guitar
Chrissy Zebby Tempo : on drums
Tommy Mwale : on bass
Peter Bwalya : on rhythm guitar
といった編成。
あなたがもしも、60年代後半から70年代初期のロックミュージックが好きなのであれば、この “Ngozi Family” の音楽は心にグサッと刺さること間違いなしです。
バンドのイメージを超乱雑に伝えるとするならば、初期の “レッドツェッペリン” や “ブラックサバス” ばりのリフを ”ジミヘン” 寄りのノリで、しかしながら、リズムセクションはミッチとノエルほど複雑ではなく、軽快なドラムとシンプルなベースをバックにグイグイと前に押しながらメッセージを伝えているという感じですかね。
現在のロックミュージックのように、オーバープロデュースされていない生々しい音も大きな魅力のうちの1つです。
歌詞に関しては、基本的にクリスチャンなので、歌詞に時折キリストさんが絡んできますが、あなたが変にアンチ宗教的な感覚を持っていなくて、客観的な視点で捉えることができるのであれば、苦にはならないと思います。(ストーンズ や ディラン だって、キリストさんに関して歌われたブルースナンバーを歌ってるわけですし… )
僕の好きなナンバーは、2曲目の “Hi Babe” と3曲目の “I wanna know“。
どの時代にもマッチするシンプルな歌詞をのせて、ガレージロック調に進んでいくこれらの曲は軽快なんだけど、ファズサウンドをきかせたポールのソロが入ってくると、なんとも異様な雰囲気(もちろんいい意味での)を感じずにはいられません。
5曲目の “Tikondane” も、ベルベット・アンダーグランド調でカッコイイですが、残念ながら歌詞は自国の言葉で歌われているため理解不可能。
7曲目の “Let me know” は、サビの部分の「どうか僕について君がどう思っているのか教えてください。」ってラインが、切ないメロディーとうまくマッチしていて胸キュンです。
ライブ感まる出しの荒削りな音と、リズムを大事にした曲がアルバム全体を通して聴くことができて、新たな青春が始まりますよ。W
というわけで、レコードに興味のある方はこちらから購入できます。👇
The Ghetto
2番目のおすすめ音源は、リーダーである “Paul Ngozi” のソロアルバム “The Ghetto” となります。
ソロとは言っても、さっきのアルバムからリズムギターのピーターさんが抜けただけで、基本的にはトリオのバンド編成です。
このアルバムでは、ミディアムテンポの曲が多く、心地よいレゲエ (正確にはレゲェを感じさせる)ナンバーがいくつかフィーチャーされていて、なんとなくボブ・マーレーを連想させられます。
詩も素晴らしいです。
“Ghetto” (貧民エリア) で子供を持つお父ちゃんお母ちゃんに「酒を飲むのをいい加減にやめて、子供達の将来を考えろよ!じゃないとオマエらがジジィババァになった時に、彼らはそばに近寄らないぜ。」なんてメッセージで歌われる1曲目は、時代を超えて共感できる曲です。
2曲目の “Help me” は、はじめに紹介したアルバムの1曲目 “Day Of Judgement”とverse の部分のギターのリフが同じやんけ!と突っ込みたくなりますが、微妙に異なります。(w)
まぁ、この辺は愛嬌ということで…
5曲目の “Suicide” は、ロックしてますね。
「家族に何をされようが、彼女に裏切られようが、お母ちゃんに何を言われようが、アンタ自殺だけはしちゃいけないよ。」って内容の曲です。そういえば、キリスト教って自殺は罪でしたっけ?
3曲目、6曲目、8曲目は自国の言葉で歌われていますが、知らない言葉の響きとロックギターのかみ合いがすごく新鮮。
歌詞の内容全ては分からないですが、アルバム全体のテーマとしては、「逆境に負けるな!」という感じですかね。おそらく当時の国の状態を象徴しているという感じなのでしょう。ナイスなアルバムです。
45,000 volts
紹介するのは3枚と決めていたので、最後の1枚は “My Ancestors” ってアルバムと、”45,000 volts” のどっちにしようか迷いましたが、結局後者に落ち着きました。
もうこの胡散臭いジャケットを見たら、コチラを選ばざるをえなかった気持ちはわかってもらえますよね。
1曲目からギターの “fuzz” の音がかなりヘヴィーで、「え、メタルに走った?」と思いきや、ドラムはストーンズのチャーリー・ワッツばりにドライ、シンプルで軽快なサウンド、ベースは硬派に突き進むという感じなので、メタルサウンドにはなりません。
ギターも曲全体で弾きまくるのではなく、ポールさんは歌とリズムに重点を置いているという印象。
リズムギターは、ほぼ弾いていなくて、ヴォーカルのバックはドラムとベースだけって時が結構あります。
こんな感じで、いつも通りの “Ngozi節” はガンガン進んで6曲目。アルバムの目玉はやはりこの “House of Fear” なのではないのでしょうか?
ポールのギターの胡散臭さ(もちろん良い意味で)といえば、ニール・ヤングのそれとも共通すると個人的には思いますね。何か人間の「そこは恥ずかしい」みたいな部分を、わざと突っついているようなイヤラシさを持っています。w
アルバム全体を通して、明るさがあり、アフリカ感がボーカルにすごく表れていて、油が乗った作品です。そして、リズムもタイトで、開放感にあふれています。
もしも時流にうまく乗って、ヨーロッパやアメリカで発売されていたのなら、ロックヒストリーに名を残すクラッシックアルバムとして、今頃いろんな人に聞かれていた作品であっただろうと僕は確信できます。
こちらも”Day Of Judgement” と同様、アナログ盤となります。👇
最後に、冒頭のビデオを見てもらってもわかるように、当時のザンビアは “AIDS” が流行していて、70年代、80年代を突っ走ったザンビアのロックンローラー達のほとんどは、残念なことにHIVに感染してあの世へ行ってしまいました。
ザンビアのロックシーンは、こうやって消えていってしまったわけですが、ラッキーなことに私たちは現在、これらのレコーディングを復刻版のレコードで楽しめるというわけです。
それではまた。
コンカズ
*この記事の英語ヴァージョンはこちらから
👉 Discover the Magnetic Charm of Ngozi Family: Zambia’s Legendary Rock Band!