どうも、コンカズ (@konkazuk) です。
英語学習を進めていくと、ネイティブの発音に注意を向け、発音記号と照らし合わせながら聞くうちに、日本語のカタカナの小さな「ッ」に違和感を覚える瞬間が訪れるかもしれません。
実は、この「ッ」を意識して発音することで、あなたの英語の発音を確実に向上させることができます。
というわけで、見ていきましょう。
カタカナの小さな「ッ」は英語発音には存在しない?

日本語で、「ゆっくり」「ちょっと」「葉っぱ」など、私たちが普段が普通に使っている、ひらがなの小さな「っ」。
この小さな「っ」は、カタカナでも「カップ」「ラケット」「セット」のように、小さな「ッ」として普通に使われているわけですが、英語で cup, racket, set を発音する際にも、カタカナの「ッ」の存在が頭に残っていると思います。
でも実際のところはどうなのでしょうか?
イギリスで生まれた子どもたちにカタカナを書かせてみた結果は…?

さて、僕には10歳の男の子と、8歳の女の子がいるのですが、基本的に彼らの日常会話の手段は英語なので、日本語でやりとりをするとなると、やっぱり少しレヴェルが落ちてしまいます。
話す方はまだボチボチいけているのですが、問題は読み書き!
この問題を改善すべく、
「自分たちの頭の中にある日本語のボキャブラリーの中からカタカナになると思うものを、20から30書いてみよう!」
というタスクをしばらく与えていたところ、面白い発見がゴロゴロと出てきました。
発見の中身を簡単に言ってしまうと…
日本人である私たちが、自分たちのカタカタ英語を実際の英語の発音に近づけようとして苦労する部分の裏ヴァージョンが見えた。
ということになります。
言い換えると、英語の発音からカタカナに変換する時につまずいてしまう「クセ」みたいなものが浮かび上がってきた、と言うことです!
カタカナ ➡︎ 実際の英語の発音
の過程で起こることを反対の
実際の英語の発音 ➡︎ カタカナ
の過程で起こることと照らし合わせてみると、今まで見えにくかったものが形を現してきます。
英語の発音から変換されたカタカナ表記の例

まずは、下の画像を見てください。
子供たちが書いたカタカナなのですが、なんだか分かりますか?



左から (ケータイでだったら上から) 順に、普通ならば ベッドルーム、フィッシュ、ショップ、となるはずなのですが、ご覧のとおり
子供たちの頭の中には カタカナの小さな「ッ」が存在しません!!!
他にも…



これらも普通なら、パロット、レッドパンダ、チョップスティック となるはずなのですが、ここでも小さな「ッ」が見当たりません。
この他にも、
アップル ➡︎ アプル
フロッグ ➡︎ フログ
オリンピック➡︎ オリンピク
など、取り上げていくとキリがありませんが、例外なく小さな 「ッ」が抜けてしまいます。

しかしながら、これは逆をとってみると、英語の発音をしようとするときに、
カタカナで知っている日本語のボキャブラリーから意識的に小さな「ッ」を取り除いてやることによって、一歩英語の発音に近づける
という証明になります。
実際に小さな「ッ」を取り除いてみる

さて、お笑い芸人がコントなどで金髪のカツラをかぶり、英語なまりの日本語を真似しているのを、一度は見たことがあるのではないでしょうか?
その中で気づいたことがあるのですが、例えば…
ちょっと待って ➡︎ ちょとまて
困ったなぁ ➡︎ こまたな
やっぱり ➡︎ やぱり
…とまぁ、こんな感じでしゃべっていますよね。
実は、この真似の仕方、すごく的を射ているんです。
どのように的を射ているかというのは、英単語の発音記号を見ていただければ、わかるかと思います。
例えば次のようなボキャブラリーを例にとってみて、
hit/ pack / god / socks / habit
これらをカタカナで書いてみると…
ヒット/ パック/ ゴッド/ ソックス/ ハビット
と、なります。
では、これらのボキャブラリーの発音記号 (phonetic symbols) を見てみると…
[hɪt] / [pæk] / [ɡɒd] / [sɒks]/ [hæbɪt]
そして今度は、これらの発音記号を、すでに皆さんが日本語の単語として認識してしまっている「カタカナのボキャブラリー」に変換するのではなく、「カタカナの文字」として変換すると…

子音で終わる音をカタカナ表記するには限界がありますが、今回は説明のため、この時点では無声音などには目をつぶっていただくことにして…
ヒト/ パク/ ゴド/ ソクス / ハビト
となるわけです。
小さな「ッ」が消えてしまいました。
どうですか?少し見えてきましたよね。
英語を話す外国人にとって、小さな「っ」(または「ッ」)という音は存在しないので、日本語を話すときに「やっぱり」や「ちょっと」などの小さな「っ」を意識しません。
さあ、ここで発音記号のところに戻りますが、先程
[hɪt] / [pæk] / [ɡɒd] / [sɒks]/ [hæbɪt]
を
ヒト/ パク/ ゴド/ ソクス / ハビト
とカタカナで綴りましたが、これらの発音記号は、よく見ると子音で終わっています。
これらを実際にカタカナの通りにしようとすると…
[hɪto] / [pæku] / [ɡɒdo] / [sɒkusu] / [hæbɪto]
…となって、水色の文字の部分が必要になってくるわけなのですが、実際のボキャブラリーには (そしてもちろん発音記号にも) 存在いたしません。

そしてさらに、実際のボキャブラリー (または発音記号)の子音の部分(今度はオレンジの文字)
hit/ pack / god / socks / habit
がわかりやすいように、日本語で発音できる部分だけカタカナにすると、
ヒt/ パck / ゴd / ソcks / ハビt
これらの母音のないオレンジの部分は、舌の先や歯と歯の隙間、あるいは喉の入り口を他の口の一部に触れさせ、マッチを擦るような感覚で発音されるため、ある程度の力と勢いが必要になります。
そのため、ヒとt 、あるいは ゴとd の間には、ごく短い微妙なギャップが生じますが、このギャップはひらがなの小さな「っ」ほど長くはありません。
ところが日本語には 小さな「っ」が存在するため、海外から来た言葉のなかにのギャップを感じるものは(この「ギャップ」もそうですが、w)ひらがなの小さな「っ」をカタカナにしてブチ込んでしまうというわけです。
このような理由から、日本語と英語の間に微妙な発音の違いが生じてしまうのです。
結論:英語で発音をする時は、カタカナの小さな「ッ」は除外

というわけで、皆さん。
英語を発音する際は、カタカナの日本語のボキャブラリーから意識的に小さな『ッ』を取り除くようにしましょう!
そして、機会があれば、カタカナ表記で小さな「ッ」が含まれているボキャブラリーを、映画などでネイティブの話し手同士が会話しているのを注意深く聞いてみてください。
きっと、「なるほど〜」と感じることができると思います。
というわけで、今回はカタカナの小さな「ッ」に関してでした。
カタカナ英語の改善にはある程度の時間がかかりますが、皆さん焦らず、コツコツと頑張っていきましょう。
それではまた。
コンカズ
*この記事の英語ヴァージョンはこちらから
👉 Katakana’s small “tsu” does not exist in English pronunciation at all? 《Eigo-jiru vol.2》