洋書レビュー

ジェイ・ブレイズさんの自伝『Making It』レビュー:人種差別に立ち向かい、社会に価値をもたらす彼の物語!



どうも。コンカズ (@konkazuk) と申します。

今回紹介させていただく書籍は、BBC1で放送されている “The Repair Shop” でおなじみの Jay Blades (ジェイ•ブレイズ)さんによる自伝、 “Making it”.


image taken from Amazon.co.uk


ジェイさんは、僕が現在家族と暮らしているHackney (ハックニー)と呼ばれるエリアで幼少期を過ごしたという事で、地理的な部分にも興味をそそられて、本を手に取ってみたのですが…

読んでいくうちに、彼の超波瀾万丈な人生に感動させられ、読み終える頃にはファンになっていました。



次から次へと立ちはだかる難関をそのまま受け入れて、直感と猛烈な行動力で正面突破していく彼の人生が生々しく書かれていて、読んでいる側にも熱が伝わり、すごくインスパイアされます。

また、スラングやイディオマティックな表現もかなりの頻度で出てくるため、英語学習者にとっても、かなりオススメの本と言えます。


というわけで、つまみ食い的な要約となりますが、興味のある方は読み進めていってください。

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人種差別

image by Clay Banks

まずは彼の幼少時代。


シングルマザーの厳しい環境の中でも、楽しく幼少時代を過ごしてきたジェイさんでしたが、白人の子供達が大多数を占めるセカンダリー・スクールへ入学すると同時に、世界が完全に変わってしまいます。

その原因は、学校の昼休みの時間に起こる、上級生達からの「人種差別によるいじめ」。



入学したばかりの頃は、白人の生徒たちが浴びせる人種差別的なニュアンスを含んだ悪質なジョークも、ジェイさんには理解できませんでした。


意味がわからないので、家に帰って、そのジョークをそのまま近所の友達に話すと、歳上の友達は爆怒り。


その友達が学校に乗り込んで、白人の生徒たちに仕返しをしたのですが、当然ジェイさんは次の日からも学校に通わなくてはならないので、おかげで、いじめはさらに悪い方向にエスカレート。


小学校が同じだったということで、つるんでいたインド系の友達が、メガネが壊されるほど毎回ボコボコにされ、何度とやってきたセロテープでのメガネの修復がもはや不可能となった時点で、ジェイさんは戦うことを決意します。


この日以来、母親からの「先手必勝」のアドバイスを胸に、毎日20人近くを相手にケンカ三昧の日々。

そして、皮肉なことに、この環境がジェイさんを「ケンカ上手」「ケンカ好き」にさせてしまい、この評判が学校外の他の地域の白人キッズの間にも広まって、ジェイさんをさらなるトラブルへと巻き込んでいってしまいます。



当時の人種差別はあからさまで、学校の教師から警察、NF(*National Front)など、家の外に出ると、黒人のジェイさんにとっては敵だらけ。

“The violence, and the racism, and the unfairness changed me as a person. In just a few weeks, I stopped being that happy, carefree little lad and grew really angry at the world. I became proper hot-headed, and on a hair trigger to attack anybody who antagonized me.”
(本からの引用)


上の文章からもわかるように、セカンダリースクールの5年間が、ジェイさんを怒りにあふれた、用心深い人間に変えてしまいました。

*National Front は、白人至上主義や反ユダヤ主義を支持する極右政治団体。その政治的主張や活動は、暴力や人種差別的な言動を伴うことで知られる。

女癖と父親

image by Jack-B

セカンダリースクールを出たと同時に、ジェイさんは彼女との同棲生活 (この時16歳) を始めます。
(早ぇ〜!)

… が、若い頃のジェイさんは、かなり女癖が悪かったので彼女とのケンカが絶えません。



そして何度と痛々しいトラブルを経験した後、彼女の妊娠が発覚。



子供が産まれたのを機会に、ジェイさんは落ち着こうと決心しますが… 子育てのストレスに耐えきれず、ここでもまたやらかしてしまいます。


彼女と子供を引っ越した先のルートンに残したまま、ロンドンに戻って、追っかけた彼女のところに潜り込みますが、結局は上手くいかず、しまいにはホームレスになってしまいます。



この時期に出会った人物が、ジェイさんが5歳の頃に彼の前から姿を消した父親

ジェイさんは、本の中で自分の父親のことを “TMWCTMB” と呼んでいます。



これは、”The Man Who Contributed Towards My Birth” の頭文字を取ったもので、これを訳すと「自分が生まれるのに貢献した男」、つまりそれ以上の何者でもない。


とても「父親」だなんて思っちゃいないってことですね。

この “TMWCTMB” に、義理の兄弟2人と妹を紹介されますが、どうも怪しい。そこでこの妹と後で会話したところ、合計25人もの義理の兄弟姉妹が存在することが判明


自分はこんな父親には絶対になりたくない… と思うのですが、皮肉なことに、そう思った直後に、オックスフォードに住んでいた時にできた彼女 (この時点ではもう別れていた) との間に、子供ができてしまったりと、若い頃から結構ややこしい人生を送ってきています。


社会貢献に目覚める

image by shane rounce

本の内容をすべて追っていっても仕方ないので、ここで最後にささっと、ジェイさんの基本的な理念が「社会に貢献すること」に向いた時から、彼の人生のベクトルが上に向いていった経過を、超簡潔にまとめてオシマイとします。



出口のない生活から抜け出すために、ジェイさんはオックスフォード州に移り、紹介されたチャリティーの仕事を始めます。

そこでは人生を完全に捨ててしまった (便をするのに、パンツを下ろすことさえ諦めてしまった!) 人達の体を洗ったり、アル中を相手にしたり、大変なミッションが待ち受けていました。



ところが、ここで経験したことから、

自分にも人を助けることができる
自分にも人を思いやる気持ちがある


ということを発見します。



ここから人生が徐々に好転していきます。



この後、誰の手にも負えなくなって、見放された若者たちを更生したり、大学に入って(ジェイさんは「読字障害」で字が読めません。)苦労しながら犯罪学を勉強して、警察に黒人に対する不平等な対応を改めさせるレクチャーをしたり、と「社会貢献の道」を突き進んでいきます。

そして最終的には、大学で知り合った女性と、若者を更生する会社を立ち上げ、さらにそこから「メンタル・ブレイクダウン失踪事件」など、色々と苦難を乗り越え、現在の “The Repair Shop” というテレビ番組の司会者に至ります。



ちなみに番組は下のような感じです。👇




というわけで、最後は超簡潔にまとめてしまいましたが、実際のところ、中身は当然このようにシンプルではなく(w)、ページをめくるたびにドラマがあるので、中だるみもなく、最後まで一気に読み通せます。

ちなみに、”TMWCTMB” は最後まで期待を裏切らず最低野郎でした。

とにかくジェイさんは、メチャメチャ真っ直ぐな人なので、言い辛くて誰も口に出さないことも、相手構わず平気で指摘します。そして超ロマンチストなので、かなり女に弱いです。



さらに冒頭でも述べましたが、ここまで英語のイディオマティックな表現が、これでもか!というレベルで立て続けに出てくる本は、個人的に今まで出会ったことがないので、かなり勉強になりました。

というわけで、ボトムから這い上がっていく人間の、熱いドラマにノックアウトされたい方は、こちらのリンクから書籍が購入できます。👇


みなさん洋書をたくさん読んで、英語を学びながら感動しましょう。



それではまた。

コンカズ

*この記事の英語ヴァージョンはこちらから
👉 Adversity to Advocacy: Jay Blades’ Tale in ‘Making It’

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